本日、腰痛の件で通院したのですが、ちょっと気になることがあったので書いてみたいと思います。
診察が終わり、病院のロビーで会計を待っていると、中年の女性同士の会話が聞こえて来ました。
「 なに珍しいわね、今日はどうしたの? 」
「 うん、持病の肩こりで来たの。 湿布が切れたから湿布だけ貰おうと思って 」
「 買うと高いからねぇ 」
この時は、特に気にするような会話じゃなかったので聞き流していましたが、会計が終わり病院近くの薬局で処方薬を貰う際に、薬剤師との会話でふと上記の話を思い出し 「 病院の薬は市販より安いって言うけどホントにそうなのかなぁ? だとしたらどのくらい安いのかな? 」 と思った次第なのです。
前回処方された薬の効果があまり無かったので、今日は内服薬の一部変更と経皮鎮痛消炎外用薬の 「 ボルタレンローション 1% (50g)」 を追加で 2本 出して貰いました。
( 以下、所々ボルタレンと表記 )
僕 「 ボルタレンって確か市販もされてますよね 」
薬 「 はい、そうですね。類似成分のものが市販されています 」
「 ただ保険が適用されないから凄く高くなりますね 」
「 湿布もそうですが、病院で貰った方が断然安く付きますよ 」
果たして、薬は病院で貰った方が得なのか?どれくらい安くなるのか?
勿論、医師の処方箋が無いと入手出来ない薬は市販薬として購入不可能なので、今日処方された中で市販もされているこの「 ボルタレンローション 1% (50g) 」 を例に考えてみたいと思います。
下の写真を見てください。(画質が悪くてスミマセン)
上が薬局の領収書、下が同処方薬の保険調剤明細書です。
今日は複数の薬を処方して貰ったので、その中から 「 ボルタレンローション 1% 」 が幾らなのかを抜き出して確認してみる必要があります。保険調剤明細書は 「 点数 」 で表示されているため解り辛いのですが、この点数と領収書の金額の関係を見ると、下の写真の一番最後 「 合計 1109 点 」、領収書の「 保険内合計金額 11090 円 」、この事から金額は点数の 10倍 となっている事が理解出来ました。
では、肝心の 「 ボルタレンローション 1% (50g) 」 はいったい幾らなんでしょう?
一目瞭然、薬剤料が 「 85 点 」 になっているので 850 円 という事になります。これには 100g と書かれているので 50g 1本では半分の 425 円です。ただし、処方箋で薬局から薬を購入する為には、薬価の他に赤破線で示した余計?なものと、病院での診察料が付加されてしまいます。(調剤料と指導料は処方される薬の種類や数によって違ってきますが、過去に1種類のみ処方のケースがなかったので、ここではそのままの点数で計算します)
解りやすく 「 ボルタレンローション 1% (50g) 」 を 1本だけ処方して貰う為には、いったい幾ら払えばいいのか?を計算してみると次のようになりました。病院代については単純な診察だけだったので一番安い金額で済んだと思います。(小数点以下の端数は繰り上げています)
調剤基本料 490 円
外用薬調剤料 100 円
薬剤服用履歴管理指導料 410 円
ボルタレン1% 50g(1本) 850 円 ÷ 2 = 425 円
上記合計と保険負担分( 490 + 100 + 410 + 425 )×3割 = 428 円
病院で支払った費用(内訳)= 診察料 と 処方箋料 合計 570 円
総計 428 円 + 570 円 = 998 円
ボルタレンを 1本だけ処方して貰った場合に支払う金額は 998 円となりました。
因みに市販価格が幾らなのか? 帰りにドラッグストアを覗いてみたのですが、その店舗では取り扱いがなかったので、ちょっと調べてみたら、
ケンコーコムのサイトで 「 ボルタレンACローション 50g 」というものが 1429 円 となっていました。近所のドラッグストアがこの値段で販売していると仮定するので送料が必要無いのと、成分云々は抜きにして内容量が同じなのでこの価格と比較してみます。
病院で処方して貰った場合 998 円
市販薬を購入した場合 1429 円
1429 円 − 998 円 = 431 円
その差額は 431 円 になりました。
病院で 「 ボルタレン 」を 1本だけ処方して貰う場合に限っても、市販価格よりかなり割安になっています。しかし、この計算にはカラクリがあって実際とはそぐわないのです。わざわざ病院まで、ある薬を単品(1個だけ)貰いに行く人は多分いませんよね。上記の女性の場合でも、湿布薬を1袋だけ処方して貰うとは考え辛く複数袋の筈です。
今回は ボルタレン を 2本 出して貰ったのでこの計算をしてみましょう。
調剤基本料、外用薬調剤料、薬剤服用履歴管理指導料、病院で掛かった費用は変動せず、ボルタレンの金額をそのまま 2本 = 850円 とします。
調剤基本料 490 円
外用薬調剤料 100 円
薬剤服用履歴管理指導料 410 円
ボルタレン1% 50g( 2本 ) 850 円
上記合計と保険負担分( 490 + 100 + 410 + 850 )×3割 = 555 円
病院で掛かった費用(内訳)= 診察料 と 処方箋料 合計 570 円
総計 555 円 + 570 円 = 1095 円
ボルタレンを 2本処方して貰った場合に支払う金額は 1095 円となりました。
ケンコーコムで同容量の ボルタレンAC と言う商品を2本買うと
1429 円 × 2 = 2858 円 となります。
保険適用の処方薬と市販薬の価格差を見ると
2858 円 − 1095 円 = 1763 円
ボルタレンを 2本 処方して貰ったら同じ市販薬を 2本 買うよりその差額は 1763 円にもなりました。更に、病院で 1本 だけ処方して貰う場合は 1本あたり 998円、2本だと 1095 円で 1本あたり 548 円とかなり安くなってきます。
しかし、これも考え方次第になってしまいます。
例えば、湿布や鎮痛消炎ローションを
1つだけ欲しい時、この場合に限ってですが 431 円 のために病院で長時間(今日は4時間・・・)を費やす価値があるのか? と。 また、近所にドラッグストアがあって、病院へは車を使用しなければならない場合、ガソリン代やバス代など交通費も加案しなければなりません。ぼくの場合、病院まで往復 12km、燃費が 6km/L 前後、前回入れたガソリン価格が 148円 / L なのでガソリンを 2L 使用し 296 円 余計に掛かった事になります。それを考慮すると
431 円 − 296 円 = 135 円
んー、1つだけの場合だとこんな差額になりました・・・。
勿論、この計算は 「 病院に薬だけ貰いに行く 」 事を前提としていますし、先にも書いたように、複数個、複数種類の薬を処方される場合が殆どだと思います。えーと、結論を出さなければイケマセンね。
【 結論 】
処方薬の方が金額に限って言えば勿論お得。
大量に処方可能ならば更にお得(湿布など)。
諸条件は人それぞれなのでケースバイケース。
それと病院での長い待ち時間をどう見るか。
更に病院へ行くため有給休暇を取った場合、日給換算でその有給休暇は幾らなのか。
要は価値観になってしまいます。
医療費の財政圧迫が問題になっている昨今 「 お得 」 という言葉を使って良いものか躊躇しましたが、タイトルを 「 どっちが得か? 」 としてしまったので敢えて使わせて頂きました。 m( _ _ )m
たまにはこんな疑問をもってみるのも面白いかも知れません。(^^;
【追記】 2013.11.04
持病もち様 から 「 初診費用 」 の件でコメント欄からご指摘を頂きました。
この記事をご覧になられる皆様は、市販薬と処方薬どっちが安いの? と疑問をお持ちになられ処方薬が安ければ病院に行こうかな?という方々が大多数だと思われます。
上記の計算は、たまたま継続して通院中の領収書から引っ張り出した数字なので初診料が含まれておりません。
病院の規模によって初診料が変動するそうですが、私の場合は病床数200未満の総合病院で、過去の領収書を調べた結果、初診料=270点となっていました。金額に直すと 270点×10×30% = 810円 です。
処方薬を貰いに初診で病院にかかる場合は受診する病院の初診料を考慮する必要が御座いますのでご了承くださいませ。 2012.10.24 雑記